プログラム

ブルノ・ヤナーチェク音楽アカデミー、室内オペラ

イジー・ナイヴァル 『ファルスタッフ』

ダニエル・シメク 『見知らぬ人』


ブルノ・ヤナーチェク音楽アカデミーが、ヤナーチェク・ブルノ2018音楽祭の依頼を受けて、ブルノ国民劇場との協力のもとで制作。


チケット

ダニエル・シメク『見知らぬ人』

ダニエル・シメクは1994年7月15日、ウィーン生まれ。ブルノのコンセルバトワールのレナタ・ビアラソヴァーのもとでピアノ演奏を、同時に個人授業を受けていたパヴェル・ゼメク・ノヴァークから作曲法を学ぶ。現在、ブルノのヤナーチェク音楽アカデミーの修士課程1年に在籍しており、まずはマルティン・スモレク博士のもとで、その後レオシュ・ファルトゥス教授のもとで作曲を学ぶ。

オペラ『見知らぬ人』は2017年初めに完成した作品です。そのリブレットの元は、ロシア・シンボリズムの作家、アレクサンドル・ブロークの筆による同名の舞台です。リブレット自体はチェコ語で書かれています。

オペラの物語は、現実と夢の狭間で展開されます。オペラの登場人物は、見知らぬ少女を探す詩人と、地上に落ちた星である「見知らぬ」少女のマリエです。オペラの主題は、理想の探求と、人が真の理想に気づく状況にあります。

音楽は、リブレットの内容を最も的確に表現するように作られており、また出来る限り他の要素との間にバランスのとれた関係にあるように心がけられています。ボーカルラインは、主に発話の流れから取られています。2人のソプラノ歌手と3人のバリトン歌手のパートナーとなるのは、弦楽器、電子ピアノ、打楽器、クラリネットから構成される室内楽団です。

イジー・ナイヴァル『ファルスタッフ』

イジー・ナイヴァルはオストラヴァのヤナーチェク・コンセルバトワール(ミラン・バーホレクに師事)で作曲を学んだ。その後、ブルノ・ヤナーチェク音楽アカデミー、音楽学部で作曲の勉強を継続(ダン・ドロウヒー博士の指導の下)。複数の作曲コンテストで多くの賞を得ている。現在までに幾つかの歌劇作品の初演を果たしている-『暗闇に花は育たない』、『血にまみれた結婚式』、『エヴジェン・オネーギン』、『消灯』、子供向けオペラ『羽ぶとん』、『太陽に対する勝利』(2017年モラビアの秋)、そしてネオバロック・オペラの『神曲』である。

アッリーゴ・ボーイト作、ヴァーツラフ・ユダ・ノヴォトニー訳の作品からJ.ナイヴァルよって新しく制作されたリブレットは、シェイクスピア劇の登場人物であって、「懲らしめられる」ファルスタッフを扱ったものです。イジー・ナイヴァルは、太った放蕩者のファルスタッフが主人公のコメディを音楽化しました-ファルスタッフは臆病な小悪党で、女性や魅惑的な女性の美しさの中にある若さへの渇望は、物笑いの種となります。彼は、入り浸っている居酒屋「靴下止め」から、ウインザー朝時代の町娘アリーチェとメグに対し、大胆な情事を仕掛けようとします。しかし、アリーチェもメグも、クイックリー婦人の助けを借り、ただファルスタッフを翻弄するのです。ファルスタッフはいつでも罠にかかる単純な馬鹿者のように見えます。しかしオペラの最後には、自らの哲学を明らかにするのです:彼の不遜さや全くの無責任さがなければ、人生はつまらないものとなり、町人の美点はいかほどのものか表現する場さえなくなってしまうと。物語には、ファルスタッフの計略のおかげで知り合い、秘密の恋に落ちる2人-バルドルフォとアリーチェの物語も織り込まれています。最終幕(魔法の森)では、小人と妖精の子供合唱団が出てきます。オペラはこの言葉のフーガで終わります:「ここではすべてがコメディ。世界の全てがコメディ!私たち皆が狂っている!ある人は、別の人がおかしいと思う。最後に笑う者が幸せなんだ!」

『ファルスタッフ』は「ベルカントな」ブッファ・オペラを手本に制作されました。音楽的解釈の斬新さは、インスピレーションの主要な源となっているテキストの内容に依拠しています。ネオクラッシック的なオーケストラの構成は、喜劇の特徴といえる楽器編成をしています。アリオーソでの伴奏は、(登場人物それぞれとの結びつきの点で)対比的で非トラディッショナルな楽器表現がされており、レチタティーボにおける楽器の多様性が、ストーリーラインを作っています。